リセットスリーは
- 呼吸エクササイズ
- 軸回旋エクササイズ
- 体幹安定エクササイズ
の3つのエクササイズから構成されています。その中でも呼吸エクササイズはインナーユニットを活性化させるために有効なアプローチです。
では、呼吸エクササイズを行うとどこの筋肉が動員され、どのような動きが引き出されるのでしょうか。
こちらの記事では過去に発刊したCCJを再編集し、呼吸エクササイズを理解するのに大切な筋の起始停止、筋線維の走行を解説していきます。
リセットスリーを解剖学から理解したい、セミナーに興味があるけれどもう少しメカニズムを知りたい、という方はぜひご覧ください。
※こちらの内容はセミナーでは取り扱っていない補足的な内容となります。予めご了承ください。
胸郭の動きに重要な内・外肋間筋
呼吸エクササイズで重要なのは、肋間筋と横隔膜、腹横筋の関係です。図1をご覧ください。
これは胸郭から大胸筋や小胸筋を外した図です。呼吸エクササイズにおける胸郭の動きに重要な内・外の肋間筋が書かれています。内・外肋間筋は上下の肋骨間を埋める筋肉で、起始停止は同じですが走行が真逆になります。外肋間筋は肋骨の背骨側から前方(お腹側)に向かって斜めに走っています。逆に内肋間筋は肋骨のお腹側から背骨側に向かって斜めに走っています。
ここからは、イメージを働かせながら読んでください。肋骨の上下を背中側からお腹側に走る外肋間筋が収縮すると、1つ下の肋骨は1つ上の肋骨に向かって引き上げられます。この動きは胸郭前面だけでなく、胸郭の横後ろも同様に引き上げられ、結果として胸郭の周径が広がります。逆に上下の肋骨の前から背中側に向かって斜めに走る内肋間筋が収縮すると、1つ上の肋骨が1つ下の助 骨に向かって引き下げられ、結果として胸郭の周径が小さくなります。
肋間筋と横隔膜、腹横筋の関係
次に横隔膜を見ていきます。図2・3を見てください。
- 図2……横隔膜の下(第2胸椎)で輪切りにし横隔膜を下(腹側)から覗き込んだ図です。
- 図3……は横隔膜の上(第1胸椎)で輪切りにし横隔膜を上(胸側)から見た図です。
- 図4・5……身体を縦半分に切った図です。図4は前から見た腹腔内の図で、図5が胸郭を内側から見た図。ドーム状の横隔膜はドーム型のテントが数本の支柱で支えられるように、腰椎部・肋骨部・胸骨部に起始を持ちます。
腰椎部は第1~第4(左は第3) 腰椎の椎体から腱性に起こり、外側脚は第2腰椎の肋骨突起と第2肋骨との間に張っています。赤マルで囲まれた部位を見てください。この白い膜状の部分は腹横筋の起始腱膜です。このように、横隔膜と腹横筋は、第2肋骨の内側で同じ腱膜組織を起始としています。また、肋骨部においても同様で第7~12肋軟骨(すなわち肋骨弓/図3)の内側で腹横筋の起始と交差して起こります。
図5の青マルで囲まれた部分を見てください。これは腹横筋を内側(内臓側)から見た図で、真ん中の白いのが腹直筋鞘(腹横筋の停止腱膜)で、そこから横向きに走っている線維が腹横筋、その腹横筋と交差するように縦方向に交わっているのが横隔膜です。横隔膜と腹横筋は、肋骨部では腱を介さず筋同士が交わるように起始部を同じくしています。この解剖学的位置関係が、横隔膜と腹横筋が密接に関与し合う一因となります。
まとめ
エクササイズを解剖学的に理解するには、呼吸筋とインナーユニット、体幹の内在筋と外在筋の3つに分けて考えると整理しやすくなります。
内在筋とは、主に脊柱に付着するかなり短い分節性の筋を含みます。これらの筋は脊柱の細かい調節に関与します。これに対し、外在筋は頭がい骨や骨盤、肋骨、上下肢と脊柱以外に付着を持つかなり長い筋からなります。これらの筋は体幹全体にダイナミックな安定性をもたらし、脊柱と上下肢の連動を可能にします。
エクササイズを解剖学的に理解するには、起始停止だけではなくその筋線維の走行や筋がどのように付着しているかがイメージできるようになることが重要です。アプローチ法と合わせて解剖学を深めていただき現場でご活用ください。
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